2022年04月07日

コラム

目指すワークスタイル「Performance Based Working」を体現した、電通デジタルの新オフィス

※所属・役職は記事公開当時のものです

2019年から新しいワークスタイルに挑戦してきた電通デジタルは、その取り組みの1つとしてオフィスをリニューアルオープンしました。どのようなコンセプトのもとで新たなオフィスが設計され、どんな工夫が盛り込まれたのでしょうか。総務部長 飯野将志に話を聞きました。

新しいワークスタイルに必要な機能を実装した

オフィスをリニューアルされた背景を教えてください。

飯野電通デジタルのミッションは「クライアントの事業成長パートナー」になることです。そのために組織のパフォーマンスを最大化して、最短距離で目的を達成する働き方ができるよう取り組んできました。この働き方(ワークスタイル)を私たちは「Performance Based Working(PBW)」と呼び、そのための制度やツールの整備、風土の醸成を行ってきました。オフィスのリニューアルは、ツールの1つである「ワークプレイス」の整備にあたります。

「クライアントの課題を解決し、事業を成長へと導く」という目的を達成するためには、各組織が「やるべき事を、やるべき時に、やるべき人が、やるべき所で」を意識することが重要になります。コロナ禍も相まって、「やるべき所」、つまりワークプレイスの選択肢を広げるために、ZoomやTeams、SlackやoViceといったデジタルツールの整備や、800カ所を超えるシェアオフィスとの契約を進めてきました。

その結果、オフィスに求められる機能は大きく変わりました。次図は、「コミュニケーションとワークプレイスの関係性」を表したポートフォリオです。

以前のワークプレイスはオフィス一択に近い状態でしたが、今はオフィスは選択肢の1つになりました。ルールやマニュアルに沿った作業であれば自宅やシェアオフィスで行えますし、長時間の議論を行わない情報伝達中心のミーティングであれば、ZoomやTeamsといったデジタルツールで十分にパフォーマンスが出ます。反対にオフィスに求められるのは、ホワイトボードを使って行うミーティングや画面を見ながら行う引き継ぎのように「言葉だけでは伝えることが難しいことを複数人で時間を決めて行う時の場所」「雰囲気や文化を共有する場所」だと考えられます。

そこで、オフィスのコンセプトを「REAL empowers us.(リアルな世界が、私たちを強くする。)」と定め、必要な機能を実装するためにオフィスのリニューアルを行いました。

お客様との多様なコミュニケーションを生むための7階

今回、汐留オフィスの7階と8階をリニューアルしました。7階は、社外のお客様とのコミュニケーションを行うフロアとのことですが、特徴を教えてください。

飯野リニューアルでは、従来のレイアウトにとらわれず、必要な機能をさまざまなエリアにちりばめたレイアウトにしました。7階は「お客様との多様なコミュニケーションを生む」ことをイメージしたフロアで、特にその特徴が表れているのは受付スペースであるエントランスと会議室です。

総務部メンバーで受付スペースのありかたを議論した際に「企業の受付は、ホテルのロビーラウンジのようになっていくのではないか」と辿り着き、実際に複数のホテルを見てまわって設計に活かしたのが、エントランスです。従来であれば、お客様にはまず受付カウンターで受付をしていただいて、すぐに会議室へご案内、というのが一般的だと思います。しかしお客様のことを考えてみると、なかには予定よりも早く到着される方もいらっしゃいます。チェックイン前にホテルのラウンジでお茶をするように、予定の時刻までエントランスでワークをしたりコーヒーを飲んだりしながらお待ちいただこう、そう考えてエントランスをつくりました。

緑を多く配置し、長時間滞在してもくつろげるように設計しました。たとえば、当社での打ち合わせ後に次の予定まで時間が空いたお客様は、7階に残って自由にお使いいただけます。そうすると、当社メンバーと打ち合わせの続きをしたり、他のチームメンバーにもお客様を紹介したりといったことができるようになります。

会議室には、どのような特徴があるのでしょうか?

飯野コロナ以降、多くの人が会って話す価値を改めて感じていると思います。そんな中でより活発に話しやすい空間づくりを目指して、各会議室は個性のある部屋にしました。

テーブルや椅子、カーペットなど、会議室ごとにカラーコーディネイトをして、色調を変えました。会議室にも選択肢をもたせたかったからです。お客様のお好みや会議内容によって選んでもらえると嬉しいです。

社員の多様な動き、共感を生むための8階

8階の社内フロアの特徴を教えてください。

飯野8階は「社員の多様な動き、共感を生む」をイメージしたフロアで、特徴的なエリアはチームホーム、ハックルーム、ラウンジです。

社内フロアは完全なフリーアドレスではなく、あえて領域ごとの組織単位で社員が集まるエリア「チームホーム」をつくりました。「そこに行けば同じ領域の人がいる」そんな拠点のような場所です。拠点があれば、出社した時の安心感につながりますし、チームメンバーがお互いに直接顔を見て話し、相手の人となりや雰囲気を感じ、先輩の背中を見て学ぶことができます。そんなリアルコミュニケーションを行うエリア、お互いの所作を観察するエリアをイメージしています。

「ハックルーム」は、1カ月、1週間、1日単位で貸し切ることができるスペースで、合宿スタイルでプロジェクトのキックオフや顔合わせに使うことを想定しています。新入社員などの新しいメンバーが加わった時には、ここで1日一緒に過ごすだけでも信頼関係の醸成に寄与すると考えています。椅子や机、本棚なども動かせますから、自由に使ってほしいですね。

「ラウンジ」は、チームホームの間に設けています。他領域の人と出会い、たくさん雑談をしてほしい場です。さまざまなタイプのラウンジがあって、動かせるホワイトボードがあるのが特徴です。

2021年、全社員対象に「どういった時にオフィスに行きますか?」というアンケートを行いましたが、1番多かったのが「人に会いたい、話したい時」で、その次が「ホワイトボードを使ったミーティングをする時」でした。そこで新オフィスには、チームホームはもちろん、いろいろな箇所にホワイトボードを設置しました。

また、ラウンジには天吊りプロジェクターを設置しているので、知見共有会、勉強会などにも活用できます。たとえば、同期が発表しているのをたまたま見かけて刺激を受けることがあるかもしれません。オープンな場所で発表する、その効果はあると思います。

オフィスは「経営戦略実現装置」

今回のオフィスリニューアル時には、工事から排出される廃棄物のリサイクルにも取り組まれましたが、結果はいかがでしたか?

飯野オフィスのリニューアル工事をすると、天井を撤去したり、もともと敷いてあったカーペットをはがして捨てたり、いろいろな廃棄物がどうしても出てしまいます。それらをすべて細かく分別し、砂利や石膏ボード、段ボール、燃料などにして「リサイクル率98.4%」を実現しました。時間をかけて丁寧に行った結果、可能になった数値だと思います。また、新オフィスではオールジェンダートイレを設置しました。一つひとつが会社の方向性への共感を生む取り組みだと考えています。

PBWを目指してオープンした新オフィスですが、今後のPBWへの取り組みについて教えてください。

飯野リニューアルオープンは、終わりであり、始まりでもあります。オフィスの真価が問われるのはこれからです。私は、オフィスは「経営戦略実現装置」だと考えています。想定通りに使われているのかどうか検証したり、ずっとそのままではなく、機能の追加や改善を継続したりして、装置としての性能をアップグレードしていくことが必要です。オフィスに関しても電通デジタルらしくPDCAをまわしていきます。社員の皆さんにはたくさん使って、改善案や声を届けていただけるとありがたいです。

今回、オフィスのリニューアルでワークプレイスの選択肢を整備しましたが、これからはこの新オフィスで実際に社員の共感を生むことが大切になります。電通デジタルが目指すワークスタイルに対して、社員の共感をいかに生んでいくか、それが総務部のミッションだと考えています。