2022年06月14日

エクスペリエンス

コラム

ユニバーサルアナリティクスとGA4の計測の違い(第2回)

※所属・役職は記事公開当時のものです。

2020年10月、アクセス解析ツール「Googleアナリティクス4(以下、GA4)」がリリースされました。本連載は、主に大企業(ナショナルクライアント)のマーケター、EC担当者、広告担当者の方を対象に、GA4の導入や運用に関する悩みを解決することを目的とした連載です。

前回は、なぜGA4はなるべく早めに導入するべきかについて解説しました。第2回は「ユニバーサルアナリティクス(以下、UA)とGA4の計測の違い」について解説します。

GA4は「まったく別の解析ツールではないか!?」と思ってしまうぐらい、UAから大きく変化しました。移行をスムーズに進めるには、導入前にあらかじめ変更点を把握し、事業主側やプロジェクトチームで対策を検討しておく必要があります。

GA4とUAの計測における大きな変更点は、「計測方式」「クロスデバイス」「指標」「レポートと探索」です。今回はこの4点を解説します。

※この連載は主にGA4の無償版についての解説です。GA4の有償版の話をする場合には、「有償版」と記載します。

計測方式がイベントに統一された

第1回でも少し触れましたが、GA4ではすべてデータの計測方式が「イベント」に統一されました。イベントとは「ページ内のコンテンツに対するユーザーの操作」です。

過去のWebサイトでは、ユーザーの行動はページ遷移を伴うことが多く、また解析技術も発展途上だったため、アクセス解析ツールもページビューを基準として計測してきました。

現代のWebサイトでは、ユーザーは動画を閲覧したり、最後まで記事を読んだり、ランディングページだけで完結する行動も多く、必ずしもページの遷移を伴うわけではありません。技術の進化に伴い、イベントもかなり詳細に把捉できるようになりました。そうした背景からイベントに統一されたのではないかと見られています。

下記の表のように、UAではさまざまな計測方式が混在していましたが、GA4ではすべて「イベント」として計測されます。


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計測方式がイベントに統一されたことにより、「スクロール数」「離脱クリック」「サイト内検索」「動画エンゲージメント」「ファイルのダウンロード」といったイベントが自動で計測されるようになりました。

これらのイベントを自動で計測してくれる機能を「拡張計測機能」といい、GA4を導入したらデフォルトでONになっています。自動計測されるイベントは、[管理]のプロパティの[データストリーム]から確認ができます。


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「スクロール数」は「スクロール率」ではありません。「あるページを90%まで進んだユーザー」を1としてカウントするイベントです。

「離脱クリック」は「クリック率」ではなく、「サイト内にある外部リンクをクリックした」という指標です。UAにあった「離脱率」という指標はGA4にはありません。

もし、UAのように「スクロール率」のデータを10%、20%、30% ...のように10%刻みで取得したい場合や、「離脱クリック」ではなく「クリック数」(ページ内の各ボタンをクリックされた回数)のデータを取得したい場合は、Google タグ マネージャー(以下、GTM)経由でのイベント実装が必要になります。

また、少し専門的な話になりますが、GA4ではGTMを使わなくても、自分で新しくイベントを作成することが一部可能になりました。メニューの[設定]>[イベント]を開くことでイベントの作成が可能です。


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たとえば、「特定のページ(サンクスページなど)への到達」や「特定の資料(PDFなど)をダウンロードした」といったイベントをGA4内で設定することが可能です。

今後は、パラメータやHTMLといったイベント作成に必要な知識は、サイト分析担当者や高度運用者のスキルセットとして必須になるでしょう。

クロスデバイスの計測が容易になった

GA4では、「Google シグナル」との連携が強化されたことで、PC、スマホ、タブレットなどの複数デバイスを超えて、クロスデバイスでユーザーを特定し分析できるようになりました。

Google シグナルとは、GoogleアカウントのログインIDをもとに、クロスデバイスで同一ユーザーを特定する機能です。

[管理]>[データ設定]>[データ収集]をクリックし、表示された画面(下図左)で「Google シグナルのデータ収集を有効にする」をオンにすることで、クロスデバイスでの分析が可能になり、デバイスの重複率などをレポート(下図右)で確認することができます。


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厳密に言うと、クロスデバイスで同一ユーザーとして認識できるのは、Googleアカウントにログインしていて、かつ広告最適化を許可しているユーザーだけになるので、一部ユーザーだけになります。

しかし、このような機能や計測が備わったことで、会員IDを発行していないサイトでもクロスデバイスの分析ができるようになりました。

一部指標が変更された

GA4では、UAにあった指標が削除されたり、新たに追加されたり、定義が変更されたりしています。

直帰率が削除された

GA4には直帰率という指標がありません。現代のWebサイトでは、動画閲覧やコンテンツ購読など、ランディングページだけで完結する行動も多くあります。ユーザーの満足度やコンテンツの良し悪しは直帰率という指標だけでは判断がつかず、必ずしも直帰が悪いとは言いきれなくなったため、とも言われています。

※GA4の指標に直帰率が復活したため[2]、記述を削除しました(2022年6月20日)

エンゲージメント関連の指標が追加された

直帰率の代わりにGA4では、エンゲージメント関連の指標が加わりました。中でも重要なのは「エンゲージのあったセッション」です。これは、

  • 10秒以上継続したセッション

  • コンバージョンイベントが 1 件以上発生したセッション

  • 閲覧または視聴が 2 件以上発生したセッション

このいずれかが該当する行動をユーザーがセッション中に起こしたら1とカウントされる指標です。これはGA4で分析を行う上では大事な指標ですので、しっかり覚えておきましょう。


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新たに追加されたエンゲージメント関連の指標

セッションの定義が変更になった

GA4では、セッションが切れるタイミングが変更されました。UAでは、流入元が変わると新しいセッションとなりましたが、GA4では同じセッションとして計測されます。また、日をまたいだ場合も、GA4では新しいセッションにはなりません。

つまり、GA4では今までよりセッションが「つながりやすくなった」ため、結果としてセッション数が減少する可能性があります。その他セッションの定義については、下図をご覧ください。


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セッション定義の比較

デフォルトチャネルが変更された

デフォルトチャネル(GAがもともと定義しているチャネルグループ)も変更されました。下図はUAとGA4のチャネルグループの比較です。いくつか新たなチャネルグループが追加されています。


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チャネルグループの比較

新しいチャネルグループとして、「動画」「ショッピング」「オーディオ」「SMS」が追加されています。また各チャネルグループ内で、「有料」と「オーガニック」が分類されるようになりました。

コンバージョンの定義が変更された

コンバージョンの定義も変更されました。たとえば、UAではユーザーが1回の訪問で同一のコンバージョンを3回したとしても、コンバージョンとしては1回しかカウントされませんでした。しかしGA4では3回カウントされます。そのため、GA4の方がコンバージョンが多くなる傾向にあります。過去データと比較する際には注意が必要です。

ここで紹介した以外にも、変更されたり追加されたりした指標が多数あります。詳しく知りたい方は、Googleアナリティクスのヘルプを参照してください[1]

レポートに関する機能が「レポート」と「探索」に整理された

UAとGA4ではレポートのメニュー名や表示される表・グラフなどが大きく変更されました。基本的な構造は変わりありませんが、しかし左のメニューやデータ(レポート)の表現が大きく変更されているのは、計測には影響があると言えます。

  • UAの左のメニュー:「ユーザー」「集客」「行動」「コンバージョン」

  • GA4の左のメニュー:「ホーム」「レポート」「探索」「広告」「設定」


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GA4の左のメニュー

中でもポイントは「レポート」と「探索」です。UAでは、レポートや機能が特に区別されることなく入り混じっていましたが、これらが整理されました。

GA4では、効果測定をしたい場合は、集計された結果だけを見る「レポート」。分析したい場合や、あらかじめ用意されたレポートではなく自分でカスタムしたい場合は「探索」を利用します。


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「レポート」機能は、UAと似たような感じで、あくまでも全体の状況を把握するために利用しますが、UAと違って「セグメント」の利用ができなくなりました。代わりに「比較」という機能があります。

「探索」機能は分析用で、UAのカスタムレポートに近い機能です。主にデータの深掘りや改善示唆を得るために利用する機能です。レポート機能のようなレポートも出せます。

この「探索」機能は、ディメンションと指標を掛け合わせ、レポートの種類も自分で設定します。分析したい内容を考えながら自ら項目を選んで設定する必要があるため、UAよりも難易度が上がったと感じられる方も多いかと思います。

UAよりもレポートや機能の数が減った分、探索機能を使って自分の欲しいデータをイメージして作成しなくていけないので、出したいデータをどう出すのか、慣れるまで時間がかかります。

まとめ

今回は、UAとGA4の計測の違いについて解説しました。GA4へ移行した後に継続して計測や分析を行うためにも、GA4を早めに導入し、事業担当者も変更点に慣れておく必要があります。

またUAからGA4に移行する際には、イベントなどを設定する時間や、計測に異常がないか確認する時間が必要です。最低3カ月は様子を見る期間をとることを推奨します。

次回は「GA4の導入方法と導入時の設定」について解説します。

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脚注

注釈

1. ^ "[GA4] デフォルト チャネル グループ". アナリティクス ヘルプ. 2022年5月31日閲覧。
2. ^ "[GA4] ディメンションと指標". アナリティクス ヘルプ. 2022年6月20日閲覧。